今回お邪魔したのは、名古屋城近くにある創業26年の老舗ワインバー『ワインの森 PAR AVION』。自分にぴったりのワインを提案してもらえるというこちらは、料理人であり、ソムリエでもあるオーナーが豪華客船の乗組員だった頃に立ち寄った数十カ国の中からセレクトした、とっておきのワインと、心のこもった料理が堪能できるお店です。

店は、外堀通りに面した鈴木ビルの2階にあり、地下鉄名城線久屋大通駅、名古屋城駅から徒歩8分ほどの場所にあります。

こちらは、2階へ向かう階段の風景。壁に描かれた文字や絵など、昭和レトロな外観とは一味違う世界観を演出していて、お店への期待感もグッと高まります。

オーナーとの会話が楽しめるカウンターが特等席

船の丸窓をイメージした入口の扉を開けると、そこはもう非日常の世界。重厚感のあるカウンター席にゆったりと腰を下ろせば、自分の好みや料理にマッチしたワインをじっくりと味わうことのできる、とっておきの時間の始まりです。

カウンター席の反対側にはテーブル席もあるため、グループでの利用も可能です。こちらは、休日の昼間からのプチ飲み会（要予約）にもぴったりです。

カウンターならではのおもてなし。キュートなポージングに思わず微笑んでしまう猫の箸置きと、差し出される箸を選ぶ演出もオーナーの遊び心が光ります。

名物料理の味を引き立てるワインのセレクトに脱帽！

この日、選んだのは、あんしん楽々セット２（7000円）。こちらは、同店を訪れたなら絶対に外しちゃいけない看板メニューと、ワインがほぼ飲み放題で2時間楽しめるとっておきのセットです。まずはワインリストの中からオーナーおすすめの本日のスパークリングワインをチョイス。ワインによっては追加料金（300円～）がかかるため、その追加料金分をフラノミスタで無料にしていただきました！

「料理が出るまで少し時間がかかるから」とオーナーのご厚意で出していただいた枝豆はメニューにない一品。ニンニクと米油を纏った枝豆は塩加減も絶妙です！

左からブルサンアイユ、ニンジンのマリネ、ナスのバルサミコが揃う口取り3種盛り（単品900円）。ワインはフランス産のキュベ サンピエール レッド。果実味のある軽やかな赤ワインで、前菜との相性もばっちりでした。

続いては、開店当時からの名物料理のひとつラクレット（追加料金なし／単品2200円）。スイスのCremo社製ラクレットチーズは、オーナーが数種類を食べ比べて選んだというこだわりの品。

カウンターとテーブル席の間に置かれたラクレットオーブンでチーズの表面を温め溶かします。表面がふつふつと波打つ頃に漂ってくるチーズの香りに食欲もそそられます。

サーブは一皿ずつ目の前で。ナイフで削り取られるトロトロチーズの流れ落ちる風景に思わず「おいしそう！」の声が。

ラクレットに合わせ、オーナーがセレクトしてくれたのがこちらの2本。上／軽やかなボディで、チーズのコクと香りを引き立てるドール・レゼルブは、ピノ・ノワール由来の酸味と赤系果実の風味が堪らない1本です。下／スイスでは「ラクレットといえばシャスラ」と言われるほどの定番のワインということで、本場と同じ楽しみ方ができるのも同店の魅力です。

茹でたジャガイモ、ブロッコリー、ニンジンの上にとろ～りチーズ。なかでも1時間かけてコトコト煮込んだというニンジンの甘みと口溶けの良さに感激したひと皿でした。

同店の看板料理の一つ、マグレカナール（鴨）胸肉のロースト（セットの場合+1000円／1人、単品3400円）。フォアグラ用に育てられた鴨の肉質は柔らかくジューシーで、噛むほどに肉の旨味が感じられる一品です。添えられた爽やかな風味の粒コショウと一緒に味わうのもおすすめです。

マグレカナールに合わせたのは、口当たりは柔らかく、酸味と果実味のバランスが良いナガサワ・ピノノワール。

食べ応え十分のブラックペッパーを効かせた自家製ハンバーグステーキ バター仕立て200g（セット追加料金なし、単品1600円）は、同店の人気商品。バターの風味と、ブラックペッパーのキレのある味わいが後を引く一品です。

ハンバーグは自分たちで取り分けてシェア。マリアージュを楽しんだのは、フランス産シャトー・レゾリュ― 赤ラベル。噛むたびにあふれる肉汁と、ワインのまろやかな渋みが調和したその味わいは、まさに大人のごちそうです。

ブドウがどんな土地で育ち、どんな造り手によるワインなのかといったストーリーや豪華客船の乗組員時代の裏話、訪れた国でのエピソードなどオーナーの話に耳を傾けていたら2時間なんてあっという間に過ぎていました。「おいしいワインと料理を心ゆくまで楽しみたい」という日にも、2軒目使いの時にも最適な一軒です。